なぜ、子供が遊ばなくなったブロックが爆発的に売れたのか?
誰もが一度は遊んだことのあるブロック「レゴ」。世界中で愛される大企業というイメージがありますよね。しかし実は、2000年代前半にレゴは深刻な経営危機に陥りました。倒産寸前まで追い込まれていたのをご存知でしょうか。
その最大の原因は、テレビゲームの台頭です。子供たちは刺激的なゲームに夢中になりました。そのため、アナログなブロック遊びから急速に離れていったのです。
レゴも必死に対抗しました。ゲーム開発に手を出したり、テーマパークを作ったりしました。しかし、どれもうまくいきません。結果として、赤字を垂れ流すばかりでした。
ところが、現在のレゴは見事なV字回復を遂げています。過去最高の売上を記録し続けるほどです。彼らは一体、どんな魔法を使ったのでしょうか。もちろん、新しい画期的なブロックを発明したわけではありません。さらに、すごいテクノロジーを開発したわけでもありません。
彼らが行ったのは、マーケティングの基本戦略です。つまり「誰に、何を売るか」を根本から見直したのです。今回は、レゴが絶体絶命のピンチから復活した売れた理由を解説します。マーケティング視点で紐解いていきましょう。
レゴが圧倒的なV字回復を果たした3つの理由
レゴの復活劇は、ビジネスのヒントに溢れています。彼らは「子供向け」という常識を捨てました。そして、まったく新しい市場を開拓したのです。
1. ターゲットを「かつて子供だった大人」へずらした
レゴの再建チームは、新しい市場に注目しました。それは、レゴを愛してやまない「大人の熱狂的ファン」の存在です。彼らは自分で複雑な作品を作り上げます。さらに、コミュニティで活発に交流していました。
そこでレゴは、ここに大きなビジネスチャンスを見出します。少子化が進む中、ゲームに夢中な子供を追いかけるのをやめました。その代わりに、経済的に余裕のある大人へ向けて商品を開発し始めたのです。「かつてレゴで遊んだ大人たちに、もう一度ブロックを触ってもらう」。このターゲット変更が、すべての始まりでした。
このように、ただの道具以上の価値を提供して熱狂を生む戦略は非常に強力です。この仕組みはエアジョーダンのマーケティングの事例にも通じます。ファン作りに興味がある方はぜひ読んでみてください。
2. 「教育的なオモチャ」から「大人のインテリア」へ価値を変えた
ターゲットが変われば、商品が提供する価値も変わります。子供向けのレゴは「想像力を育む知育玩具」でした。しかし、大人に同じ価値をアピールしても売れません。
そこでレゴは、製品の価値を再定義しました。つまり、「日常のストレスから解放される没入時間」と「部屋に飾れる美しいアート作品」にしたのです。たとえば、スター・ウォーズの巨大な戦艦や、本物そっくりな観葉植物などです。大人の所有欲を満たすデザインを次々と投下しました。
ブロックの素材自体は同じプラスチックです。しかし、それに付随する意味や文脈を変えました。その結果、見込み客が感じる価値は跳ね上がったのです。これは、ただの容器に物語を乗せて価値を激変させたストーリーで価値が上がった木のボトルのアプローチと同じです。強力なマーケティングの武器になります。
3. あえて「数万円の高単価」にしてプレミアム感を生んだ
大人向けにシフトしたことで、レゴは価格競争から完全に抜け出しました。数千円の子供向けセットとは異なります。大人向けの精巧なセットは1万円から、高いものでは10万円を超えます。
普通の感覚なら「オモチャに数万円は高すぎる」と思うでしょう。しかし、ターゲットは自分の趣味にお金を使える大人です。彼らにとって、数万円という価格は大きな意味を持ちます。つまり「大人のためのプレミアムな嗜好品である」という証明になったのです。あえて価格を高く設定しました。その結果、かえってブランド価値を高めることに成功したわけです。
「高い=質が良い」と消費者に感じさせる心理効果は、様々な業界で使われます。なぜ人は高いものほど欲しくなるのか。これについては高い宝石のマーケティング事例でも詳しく解説しています。高単価商品を売りたい方はぜひ参考にしてください。
あなたのビジネスにどう応用するか?
レゴのV字回復から私たちが学べることはシンプルです。それは「商品が売れない時、中身ではなくターゲットを変えてみる」という視点です。もしあなたが、自分のサービスが売れずに悩んでいるなら。あるいは、ライバルとの価格競争に疲弊しているなら。一度立ち止まって、こう考えてみてください。
「今のお客さんとは違う層で、私をもっと高く評価してくれる人はいないか?」
たとえば、初心者向けの安い文章講座を売って消耗しているとします。そこで、ターゲットを「売上はあるが、セールスレターを書く時間がない経営者」に変えてみます。たったそれだけで、同じスキルでも数万円、数十万円という高単価で売れるようになります。
商品はそのままでも構いません。しかし、切り口を変え、ターゲットをずらします。そして、提供する価値の言葉を変えるのです。それだけでビジネスは劇的に変わります。あなたが今持っている知識やスキル。それを最も高く評価してくれる「大人」は誰でしょうか。ぜひ、マーケティング視点で自分の商品を見直してみてください。


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