新しいお客さんを集めることばかり考えていると、今いるお客さんのことを見落としてしまうことがあります。広告を出す。SNSを伸ばす。SEO記事を書く。無料プレゼントを作る。もちろん、どれも大切です。
でも、一度買ってくれたお客さんは、その後どうなっているでしょうか。
最初の商品を買って終わり。講座を受けて終わり。サービスを使って終わり。そのまま何も提案していないとしたら、かなりもったいないかもしれません。
お客さんの悩みは、1回の購入で完全に終わるとは限りません。むしろ、最初の問題が解決したからこそ、次の悩みが見えてくることもあります。
この視点を教えてくれるのが、ダン・ケネディの「水平販売」と「垂直販売」の考え方です。ダン・ケネディは、マグネティック・マーケティングの創始者として知られる、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの世界的な権威です。著書は37冊あり、複数の起業、買収、売却の実績を持ち、コンサルタント、セールスライター、講演家としても活動してきた人物です。
今回は、ダン・ケネディのレポートで紹介されているマイピローの事例をもとに、「一度買ってくれたお客さんに、次は何を届けるべきか?」を考えていきます。
ダン・ケネディが教える水平販売と垂直販売
水平販売と垂直販売という言葉だけを見ると、少し難しく感じるかもしれません。
ただ、考え方はシンプルです。
水平販売は、お客さんがすでに買った商品と関連するものを提案することです。垂直販売は、同じ分野の中で、より上位のもの、より深いもの、より新しいものを提案することです。
水平販売は「関連する次の商品」を届けること
たとえば、枕を買ってくれた人がいるとします。
その人は、枕そのものだけに関心があるのでしょうか。おそらく違います。よく眠りたい。寝室を快適にしたい。朝、すっきり起きたい。疲れを取りたい。こういう欲求を持っているはずです。
そう考えると、枕の次に提案できるものが見えてきます。
マットレストッパー。マットレス。旅行用の枕。寝具まわりの商品。さらに広げれば、朝のコーヒーまで提案できるかもしれません。
実際、レポートで紹介されているマイピローの事例では、枕から寝室や睡眠まわりの商品へ広げ、さらにコーヒーの定期購読まで水平販売を展開しています。
つまり、売っているものを「枕」とだけ見ていないのです。
お客さんの生活の流れを見ています。
売れない原因は、次の商品がないことかもしれない
売上が伸びない時、多くの人は「もっと新規客を集めなければ」と考えます。
もちろん、新しいお客さんは必要です。けれど、すでに買ってくれた人に次の商品が用意されていないなら、売上のチャンスを逃している可能性があります。
一度買った人は、あなたの商品や対応をすでに知っています。まったく知らない人よりも、信頼の距離が近い状態にあります。
それなのに、次に届ける商品がなければ、そこで関係が止まってしまいます。
一度買った人に何も提案していない
講座販売でも同じです。
初心者向けのコピー講座を買ってくれた人は、次に何で困るでしょうか。学んだ内容を自分の商品に落とし込めないかもしれません。LPを書きたいけれど、構成で止まるかもしれません。メルマガ導線を作りたいけれど、何通書けばいいか分からないかもしれません。
ここに、次の商品があります。
添削サービス、実践講座、個別相談、テンプレート、継続サポート。売り込みではなく、お客さんが次に困る場所に商品を置くという発想です。
この考え方は、以前書いたいつか必要な商品を今欲しい商品に変える方法にも通じます。商品は、必要になる場面が見えた時に欲しくなります。既存客への提案も同じで、「次に困る場面」が見えると、自然に買う理由が生まれます。
マイピローは、枕から寝室全体へ広げた
マイピローの事例が面白いのは、単に商品数を増やしたわけではないところです。
枕を買った人に、まったく関係のない商品を売ったわけではありません。お客さんが持っている欲求を広げていったのです。
枕を買う人は、眠りに関心があります。眠りに関心があるなら、マットレスにも関心があるかもしれません。自宅で快適に眠りたい人は、旅行先でも良い枕を使いたいかもしれません。朝の時間を大切にする人なら、コーヒーにも反応する可能性があります。
こうして見ると、商品はバラバラに見えても、お客さんの生活の中ではつながっています。
商品そのものではなく、顧客の生活を見る
水平販売で大切なのは、商品を起点にしすぎないことです。
「この商品の次に何を売るか」だけで考えると、売り手都合になりやすいです。
本当に見るべきなのは、お客さんの生活です。
その人は、どんな目的で最初の商品を買ったのか。買った後、どんな場面で次の不便を感じるのか。さらに良くしたいと思う場所はどこか。誰に相談できずに止まるのか。
ここを見ると、次に届けるものが見えてきます。
コストコのような会員制ビジネスも、単に商品を売っているだけではありません。年会費を払ってでも通う理由を作り、買い物全体の体験を設計しています。この「一度関係を作ったお客さんに、継続して価値を届ける」という意味では、コストコの年会費の考え方も既存客マーケティングと相性がいいです。
垂直販売は「より深い商品」を届けること
水平販売が横に広げる販売だとしたら、垂直販売は深くする販売です。
マイピローの事例では、マイピロー2.0が紹介されています。すでに枕を持っている人に対して、さらに新しいバージョン、より欲しくなる商品を提案したわけです。
これは、同じテーマの中で上位版を作る考え方です。
講座なら、入門講座の次に実践講座を作る。実践講座の次に添削コースを作る。添削コースの次に個別コンサルを作る。テンプレートを買った人に、カスタマイズサポートを提案する。
こういう流れが垂直販売です。
お客さんは「もっと良くなりたい」と思っている
一度買ってくれた人は、今の商品に満足しているかもしれません。
でも、満足しているからこそ、もっと良くなりたいと思うことがあります。
初心者向けの商品で成果が出た人は、次に中級者向けの商品が欲しくなります。低価格の商品で安心した人は、より深いサポートに進みやすくなります。最初の商品で信頼を感じた人は、次も同じ人から買いたいと思いやすいです。
高額商品も同じです。いきなり高く売るのではなく、最初の信頼があるから次の提案が通りやすくなります。価格の意味づけについては、高い宝石の事例でも書いたように、「なぜその価格なのか」が伝わると、ただ高い商品ではなく選ぶ理由のある商品になります。
コピーライターや講師はどう応用するか?
水平販売と垂直販売は、物販だけの話ではありません。
コピーライター、講師、コンサル、コンテンツ販売者にもそのまま使えます。
たとえば、コピーライターなら、LP制作の次にステップメールを提案できます。ステップメールの次に、セールスレターや説明会台本を提案できます。さらに、YouTubeから個別相談につなげる導線設計まで広げることもできます。
講師なら、入門講座の次に実践講座。実践講座の次に添削。添削の次に個別サポート。個別サポートの次に継続コミュニティ。
商品を増やすというより、お客さんの成長に合わせて次の階段を作る感覚です。
商品の次に出てくる悩みを探す
既存客に次の商品を届けるには、まず「購入後の悩み」を探すことです。
買った後、どこで止まるのか。何が分からなくなるのか。成果を出すために追加で必要なものは何か。もっと良くしたいと思う場所はどこか。
ここに、水平販売や垂直販売のヒントがあります。
11万円ウイスキーのような高額商品でも、ただ高いだけでは売れません。限定性、ストーリー、贈る理由があるから「高くても欲しい」に変わります。既存客への提案でも、ただ次の商品を並べるのではなく、「なぜ今それが必要なのか」を伝えることが大切です。この考え方は11万円ウイスキーの事例にも通じます。
あなたのビジネスにどう応用するか?
水平販売と垂直販売は、物販だけの話ではありません。講座、コンサル、整体、サロン、士業、Web制作、コピーライティング、コンテンツ販売など、どんなビジネスにも応用できます。
大切なのは、「次に何を売るか?」を売り手目線で考えないことです。
見るべきなのは、お客さんの次の悩みです。
最初の商品を買った後、お客さんはどこで止まるのか。次に何を知りたくなるのか。もっと良くしたいと思う場所はどこか。成果を出すために、追加で必要になるものは何か。
ここに、水平販売と垂直販売のヒントがあります。
たとえば、コピーライターなら、LP制作の次にステップメールを提案できます。ステップメールの次に、説明会台本やセールスレターを提案できます。さらに、YouTubeから個別相談につなげる導線設計まで広げることもできます。
講師なら、入門講座の次に実践講座。実践講座の次に添削。添削の次に個別サポート。個別サポートの次に継続コミュニティ。
整体やサロンなら、初回施術の次に回数券、セルフケア講座、定期メンテナンス、家族向けメニューへ広げることもできます。
つまり、商品を増やすというより、お客さんの成長や生活の流れに合わせて、次の階段を作る感覚です。
水平販売を考える質問
水平販売を作るなら、お客さんの周辺にある悩みを見ます。
この商品を買った人は、他に何に困っているか。同じ目的を達成するために、他に何が必要か。購入後の生活や仕事の中で、次にどんな不便が出るか。
たとえば、ブログ講座を買った人は、SEO記事の添削が欲しいかもしれません。WordPressの設定で困るかもしれません。メルマガ登録の導線を作りたくなるかもしれません。
こうして横に広げるのが水平販売です。
垂直販売を考える質問
垂直販売では、同じテーマを深くします。
入門の次に何が必要か。もっと成果を出したい人に何を提供できるか。上位版、個別版、継続版は作れないか。より本気度の高い人に届ける商品は何か。
たとえば、テンプレート販売の次に添削サービス。添削の次に個別コンサル。個別コンサルの次に継続サポート。
このように、深いサポートへ進む道を作るのが垂直販売です。
大事なのは、無理に売ることではありません。
一度買ってくれたお客さんの次の悩みを見つけ、その悩みに合う商品を用意することです。
新規集客は大切です。
でも、売上を増やすヒントは、すでに買ってくれたお客さんの中にもあります。
最初の商品で終わらせず、次に何を届けるべきかを考える。水平販売で横に広げ、垂直販売で深く支える。
それが、ダン・ケネディから学べる既存客マーケティングの大事な視点です。


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