売上が立っているのに、どこか不安が消えないことがあります。今月は売れている。お客さんもいる。広告も回っている。SNSからも反応がある。それなのに、心のどこかで「これが止まったら終わるかもしれない」と感じる。
その不安は、気のせいではないかもしれません。
Instagramだけで集客している。広告アカウントに売上を頼っている。決済手段が1つしかない。主力商品が1つだけ。大口顧客1社の売上比率が高すぎる。
こうした状態は、うまくいっている時には危険に見えません。むしろ、「このやり方で売れているから大丈夫」と思いたくなります。
けれど、ビジネスは調子がいい時ほど、弱点が見えにくくなります。
この考え方を強烈な言葉で教えてくれるのが、ダン・ケネディです。ダン・ケネディは、マグネティック・マーケティングの創始者として知られる、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの世界的な権威です。著書は37冊あり、複数の起業、買収、売却の実績を持ち、コンサルタント、セールスライター、講演家としても活動してきた人物です。
そのダン・ケネディが語る重要な原則の1つが、「ビジネスにおいて最も悪い数字は1である」という考え方です。
ダン・ケネディは「1つに頼る危険」を見抜いている
ダン・ケネディは、不況や金融不安の中で、銀行や決済手段を1つに頼りすぎる危険を語っています。
これは、銀行や決済の話だけではありません。
ビジネス全体に当てはまる話です。
集客経路、商品、顧客層、売上源、発信媒体、外注先、取引先。どこか1ヶ所に依存しすぎていると、その部分が止まった瞬間にビジネス全体が止まります。
うまくいっている時には、効率的に見えるかもしれません。
しかし、危機は効率のいい場所から崩れることがあります。
うまくいっている時ほど弱点は見えにくい
一番怖いのは、依存しているものほど、最初は成果が出やすいことです。
SNSに集中すれば伸びやすい。主力商品に絞れば売りやすい。広告に集中すれば改善しやすい。顧客層を絞れば、メッセージも明確になります。
集中すること自体は悪くありません。
問題は、集中したまま逃げ道を作らないことです。
売れている時こそ、「これが止まったらどうするか」を考えておく必要があります。
集客経路が1つしかないビジネスは危ない
分かりやすいのは、集客です。
SNSだけで集客している人は、SNSが止まると売上も止まります。広告だけに頼っている人は、広告アカウントが止まると売上も止まります。紹介だけで仕事を取っている人は、紹介が止まると新規案件が止まります。
どれか1つが強いことは、もちろん素晴らしいことです。
ただ、それだけに頼るのは危険です。
Xで発信しているなら、メルマガやLINEに読者を移しておく。広告で集客しているなら、SEO記事やYouTube、既存客紹介も作っておく。紹介で仕事が来ているなら、ホームページや実績記事を整えて、紹介以外でも問い合わせが来る状態にしておく。
集客経路は1本ではなく、複数持っておいた方が強くなります。
中小企業のWeb集客で言えば、シマテックの事例にも通じます。見込み客が検索した時に見つかる導線を作っておくことで、紹介や営業だけに頼らない入口ができます。Web上にも信頼の入口を用意しておくことが、ビジネスの安定につながります。
商品が1つしかないと、売上は不安定になる
次に危ないのは、商品が1つしかない状態です。
主力商品が売れている時は、それで十分に見えるかもしれません。しかし、お客さんのニーズは変わります。市場も変わります。ライバルも増えます。景気が悪くなれば、その商品が後回しにされることもあります。
商品が1つだけだと、お客さんに次の提案ができません。
初回商品だけで終わる。低価格商品だけで終わる。高額商品だけで入口がない。継続商品がなく、毎回新規客を集め続ける必要がある。
これでは、売上が安定しにくくなります。
お客さんの次の悩みに答える商品を用意する
商品を増やす時に大事なのは、やみくもに増やさないことです。
最初の商品を買った後、お客さんは次に何に困るのか。ここを考える必要があります。
コピー講座を買った人なら、自分の商品コンセプトを直したくなるかもしれません。LPを書きたくなる人もいるでしょう。メルマガ導線を作りたい人もいます。個別添削が欲しくなる場合もあります。
このように、次の悩みに合わせて商品を用意すると、無理な売り込みではなく自然な提案になります。
この考え方は、いつか必要な商品を今欲しい商品に変える方法にも通じます。お客さんは、自分の状況と商品がつながった時に動きます。商品を増やす時も、単にラインナップを増やすのではなく、お客さんの次の場面に合わせることが大切です。
顧客層が1つだけだと、景気の影響を受けやすい
顧客層が1つに偏りすぎるのも危険です。
特定の業界だけに売っている。SNS界隈だけに売っている。特定の年齢層だけに売っている。特定の地域だけに依存している。
もちろん、ターゲットを絞ることは大切です。誰に売るかが曖昧な商品は、そもそも伝わりません。
ただし、絞ることと、依存することは違います。
特定の業界が不況になった時、そこだけに売っていると一気に売上が落ちます。地域に依存しすぎると、そのエリアの景気や人口変化の影響を強く受けます。顧客層を絞りすぎると、その層の興味が変わった時に苦しくなります。
別の顧客層にも届く言葉を持つ
顧客層を広げる時は、いきなり誰にでも売ろうとしなくて大丈夫です。
同じ商品でも、別の角度から伝えられないかを考えます。
コピーライティング講座なら、副業ライター向けにも売れます。個人事業主向けにも売れます。講師、コンサル、治療院、サロン経営者にも売れる可能性があります。
ただし、それぞれ悩みは違います。
副業ライターには「単価を上げたい」。個人事業主には「自分の商品を売りたい」。講師やコンサルには「高額商品を伝わる形にしたい」。同じ商品でも、見せ方を変える必要があります。
顧客ごとに選ぶ理由を整理する考え方は、競合をリスペクトして、あなたの商品を選ばせる方法にも近いです。誰にでも同じ言葉を投げるのではなく、相手ごとに「なぜ自分に合っているのか」が伝わる言葉を用意することで、商品は届きやすくなります。
決済手段やプラットフォームが1つなのも危険
ダン・ケネディが特に強調しているのが、銀行や決済手段を1つに頼る危険です。
これは今の個人事業主や中小企業にも、そのまま当てはまります。
決済サービスが1つしかない。販売プラットフォームが1つだけ。講座販売サイトだけに頼っている。顧客リストが外部サービスの中にしかない。
こうした状態は、かなり怖いです。
サービス側の規約変更、アカウント停止、決済トラブル、システム障害。どれか1つで売上が止まる可能性があります。
売上の入口と出口を複数持つ
対策はシンプルです。
決済手段を複数持つ。顧客リストを自分でも管理する。SNSだけでなくメールリストを持つ。販売ページを複数の場所に用意する。外部サービスに依存しすぎない。
最初から完璧に分散する必要はありません。
ただ、売上が立ってきたら、必ず「ここが止まったらどうなるか」を考えるべきです。
ビジネスの1つ依存の怖さは、問題が起きるまで見えません。だからこそ、何も起きていない時に備える必要があります。
「1つ依存」はコピーにも現れる
実は、1つ依存はビジネス構造だけでなく、コピーにも出ます。
強みを1つしか伝えていない。実績を1つしか見せていない。ベネフィットが1つだけ。悩みの拾い方も1つだけ。
これだと、刺さる人には刺さりますが、少しズレた読者には届きません。
売れるコピーは、読者が商品を選ぶ理由を複数用意しています。
価格で選ぶ人。安心感で選ぶ人。実績で選ぶ人。スピードで選ぶ人。サポートで選ぶ人。将来性で選ぶ人。
同じ商品でも、お客さんが買う理由は1つではありません。
選ぶ理由を複数用意する
LPやセールスレターでは、1つの魅力だけに頼らないことが大切です。
誰に向けた商品なのか。どんな悩みを解決するのか。なぜ今必要なのか。なぜあなたから買うべきなのか。買った後に何が変わるのか。失敗しないためにどんなサポートがあるのか。
こうした理由を順番に見せることで、読者は納得しやすくなります。
新しいサービスや馴染みのない商品ほど、使う理由を1つだけに絞ると伝わりにくくなります。LUUPのような新しい市場づくりの事例でも、ただ便利だと伝えるだけではなく、「どんな時に使うのか」「なぜ今必要なのか」「どんな生活変化を生むのか」を見せることが重要になります。
一言で分かる。さらに、読めば納得できる。
この両方がそろうと、コピーは強くなります。
あなたのビジネスにどう応用するか?
まず、自分のビジネスの中にある「1」を探してみてください。
SNSだけに頼っていないか。広告だけに頼っていないか。商品1つで売上を作っていないか。特定の顧客層だけに依存していないか。決済手段が1つしかない状態になっていないか。大口顧客1社に売上を支えられていないか。
この問いを立てるだけで、ビジネスの弱点が見えてきます。
まずは売上に直結する「1」から減らす
全部を一気に変える必要はありません。
最初に見るべきなのは、止まったらすぐ売上に影響する場所です。
SNSだけで集客しているなら、メルマガやLINEに読者を移す。決済手段が1つなら、別の決済方法も準備する。商品が1つなら、既存客に提案できる関連商品を作る。顧客層が1つなら、別の悩みを持つ近い層にも届くコピーを考える。
小さくてもいいので、1本足を2本足にすることです。
分散は逃げではなく防衛である
分散というと、集中力がなくなるように感じるかもしれません。
でも、ここでいう分散は、あれこれ手を出すことではありません。ビジネスを守るための防衛策です。
強いビジネスは、1つの成功に酔いません。
売れている時ほど、次の柱を作ります。反応がある時ほど、顧客リストを残します。広告がうまくいっている時ほど、別の集客経路を育てます。主力商品が売れている時ほど、次の商品を考えます。
ダン・ケネディの考え方から学べるのは、不安になってから慌てるのではなく、うまくいっている時にリスクを見つけておく姿勢です。
ビジネスで一番危険な数字は、1です。
1つに頼るほど、見た目はシンプルになります。でも、その1つが崩れた瞬間、すべてが止まります。
だからこそ、売上、集客、商品、顧客、決済を1つに依存させない。
これが、不況やトラブルに強いビジネスを作るための第一歩です。


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