なぜ、アシックスは赤字から世界で選ばれるブランドへ復活できたのか?

アシックス マーケティング 赤字から世界で選ばれるブランドへ復活した理由を解説 Uncategorized
アシックスは、機能の良いシューズから、心と体を支えるブランドへ見え方を作り直した

日本には、品質が高いのに世界で埋もれてしまう商品があります。

技術はある。機能も良い。まじめに作られている。使えば良さも分かる。それなのに、ナイキやアディダスのような強いブランドと並んだ時、「どうしてもこれを選びたい」と思わせる理由が弱く見えてしまう。

かつてのアシックスにも、そんな課題がありました。

一時は赤字に転落。しかし現在は、営業利益が1000億円を超え、海外売上比率も80%以上まで伸びる企業へと復活しています。ITmediaでも、アシックスのV字回復を支えたものとして「ブランド構築」の考え方が取り上げられています。

では、なぜアシックスは赤字から世界で選ばれるブランドへ復活できたのでしょうか。

ポイントは、ただ「機能の良いシューズ」を作ったことではありません。

商品、店舗、発信、従業員の行動まで含めて、「アシックスとは何か」を作り直したことです。

「機能の良い靴」だけではブランドになれない

アシックスと聞くと、まじめなスポーツシューズの会社というイメージを持つ人は多いと思います。

ランニングシューズの性能。履き心地。足へのフィット感。競技者を支える技術。こうした機能面は、アシックスの大きな強みです。

ただ、機能が良いだけでブランドが強くなるとは限りません。

機能は比較されやすい

機能で売ろうとすると、どうしても比較されます。

軽いのか。反発力はあるのか。クッション性はどうか。価格はいくらか。ほかのブランドと比べて何が優れているのか。

もちろん、機能は大事です。シューズである以上、履き心地や性能が悪ければ選ばれません。

でも、機能だけで戦うと、常にスペック競争になります。

ナイキにはナイキの物語があり、アディダスにはアディダスの世界観があります。単に「性能が良いです」だけでは、その中で埋もれてしまうことがあります。

アシックスの復活で重要だったのは、機能を捨てたことではありません。機能の先にある意味を広げたことです。

パフォーマンスだけでなく、心と体の体験へ広げた

アシックスのブランド思想としてよく知られているのが、「Sound Mind, Sound Body」です。

これは、健全な身体に健全な精神が宿る、という意味につながる考え方です。単に速く走るためのシューズではなく、身体を動かすことで心も整う。スポーツを、記録や競技だけではなく、ウェルビーイングの文脈で捉え直しているところがポイントです。

2023年の統合報告書でも、アシックスは「Enhancement of Brand Experience Value」を戦略上の重要項目として掲げ、ブランド体験価値の向上を重視しています。

「何を売る会社か」を広げた

ここが、アシックス マーケティングの面白いところです。

ただのスポーツ用品メーカーとして見せるのではなく、心と体の良い状態を支えるブランドとして見せた。

この違いは大きいです。

「走りやすい靴です」と言われると、シューズの話になります。

一方で、「走ることで心と体を整えるブランドです」と言われると、生活や人生の話に広がります。

売っているものはシューズでも、届けている価値はそれだけではありません。運動するきっかけ。自分を整える時間。前向きな気持ち。健康的に生きる習慣。

こうした意味をまとった時、商品は単なる機能ではなく、ブランドとして選ばれやすくなります。

この考え方は、無印良品のマーケティングにも通じます。無印良品も、単に安くてシンプルな商品を売っているのではなく、生活に対する考え方や世界観まで含めて選ばれています。

商品、店舗、発信をバラバラに見せなかった

強いブランドは、広告だけで作られません。

CMがかっこいい。ロゴがきれい。コピーが印象的。それだけでは弱いです。

実際に商品を手に取った時、店舗に入った時、店員と話した時、SNSで見た時、サイトを見た時。そのすべてが同じ方向を向いているから、ブランドの印象は強くなります。

アシックスは、この「一体感」を作り直したことが大きいと考えられます。

接点が増えるほど、ブランドのズレは目立つ

今の時代、お客さんは広告だけを見て商品を買いません。

SNSを見る。口コミを見る。店舗で試す。公式サイトを確認する。YouTubeでレビューを見る。実際に履いている人を見る。

接点が多いからこそ、ブランドの見え方にズレがあると違和感が出ます。

広告では高級感があるのに、店舗体験が雑。

公式サイトでは世界観を語っているのに、商品説明はバラバラ。

発信では健康を語っているのに、売り場では価格訴求ばかり。

こうなると、ブランドは強くなりません。

アシックスは、商品開発、マーケティング、店舗体験などを切り離して考えるのではなく、一体のブランド体験として整えていきました。公式のPerformance Running Strategy資料でも、商品イノベーション、継続的なマーケティング、販売チャネルの最適化によってプレミアムなブランド体験を届けることが示されています。

この考え方は、モスバーガーのマーケティングにも近いです。モスバーガーは、安さや速さだけで戦うのではなく、注文してから作る体験や素材感によって、大手とは違う選ばれ方を作っています。

従業員の行動までブランド体験にした

ブランドというと、ロゴや広告を思い浮かべる人が多いかもしれません。

でも、本当にブランドを作っているのは、お客さんが触れるすべての体験です。

店舗での接客。商品の説明。売り場の見せ方。SNSでの発信。問い合わせへの対応。イベントでの言葉づかい。こうした細かい行動が積み重なって、「この会社らしさ」になります。

ブランドは社内に浸透して初めて強くなる

広告だけでブランドを作ろうとすると、外側だけが整った状態になります。

でも、現場の行動がズレていれば、お客さんはすぐに気づきます。

たとえば、広告では「一人ひとりのランナーに寄り添う」と言っているのに、店舗での提案が一方的なら違和感があります。公式サイトでは「心と体を支える」と語っているのに、商品説明がただのスペック表だけなら、ブランドの温度は伝わりません。

だからこそ、ブランドは社内の人の行動まで落とし込む必要があります。

アシックスの再構築が骨太なのは、表面的な広告表現だけではなく、会社全体で「自分たちは何を届けるブランドなのか」を捉え直したところです。

ここまでいくと、ブランドは飾りではなくなります。意思決定の基準になります。

何を作るのか。どこで売るのか。誰に届けるのか。どう接するのか。すべてがブランドとつながっていきます。

「機能」から「意味」へ変えたことが大きい

アシックスの復活を、単に「良い靴が売れた話」として見るともったいないです。

もちろん、商品力は土台です。品質が悪ければ、いくらブランドを語っても続きません。

しかし、今回の本質はそこだけではありません。

機能の良さを、心と体のパフォーマンスを支える意味に変えたこと。

商品単体ではなく、ブランド体験全体として見せたこと。

社内の行動まで含めて、アシックスらしさを積み上げたこと。

ここが、赤字から復活した背景にある大きなポイントです。

ブランドは「選ぶ理由」を作る

世の中には、機能の良い商品がたくさんあります。

それでも売れる商品と売れない商品に分かれます。

なぜなら、お客さんは機能だけで選んでいるわけではないからです。

自分に合いそう。

このブランドの考え方が好き。

ここで買うと気分が上がる。

この会社なら信頼できる。

こうした感情や意味が、選ぶ理由になります。

この点は、エアジョーダンのマーケティングにも通じます。エアジョーダンは、ただのバスケットボールシューズではなく、反抗、個性、カルチャーの象徴として人を惹きつけました。アシックスもまた、機能だけではなく「心と体を支えるブランド」という意味を強めたことで、選ばれる理由を作ったのです。

V字回復は広告の変更だけでは起きにくい

売上が落ちた時、多くの会社は広告を変えようとします。

キャッチコピーを変える。デザインを変える。SNSの投稿を増やす。キャンペーンを打つ。

もちろん、それも大事です。

ただ、ブランドが弱くなっている時に広告だけを変えても、根本的な復活にはつながりにくいことがあります。

ブランドの定義から見直す

本当に見直すべきなのは、「自分たちは何者なのか」です。

何を売っているのか。

誰のどんな人生に関わっているのか。

お客さんは、自分たちの商品を使うことで何を感じるのか。

他社ではなく、自分たちを選ぶ理由は何か。

ここが曖昧なまま広告を変えても、言葉だけが浮いてしまいます。

アシックスのV字回復が参考になるのは、広告表現だけをいじった話ではないからです。ブランドの定義、商品、売り場、顧客体験、社内の行動まで含めて見直したところに、学ぶ価値があります。

この意味では、ドミノ・ピザのV字回復マーケティングとも共通しています。ドミノ・ピザも、表面だけ取り繕うのではなく、自分たちの弱点を認め、商品と伝え方を作り直したことで復活しました。

あなたのビジネスにどう応用するか?

アシックス マーケティングから学べるのは、ブランドは広告だけで作るものではないということです。

小さな会社や個人事業主ほど、つい「もっと良いキャッチコピーが必要だ」「もっと目立つデザインが必要だ」と考えがちです。

もちろん、言葉やデザインは大切です。

ただ、その前に考えるべきことがあります。

あなたの商品は、お客さんにどんな体験を届けているのか。

お客さんは、商品を買う前、買う瞬間、使った後に、どんな気持ちになるのか。

発信、LP、接客、商品内容、アフターフォローは、同じ方向を向いているのか。

ここが揃っていないと、どれだけ広告を頑張ってもブランドにはなりにくいです。

まずは「何を売っているのか」を言い換える

整体なら、売っているのは施術時間だけではありません。痛みから解放され、仕事や家事に集中できる日常かもしれません。

コピーライティング講座なら、売っているのは文章術だけではありません。自分の商品を、自分の言葉で売れるようになる自信かもしれません。

コンサルなら、売っているのはアドバイスだけではありません。迷っていた経営者が、次に何をすべきか決められる安心感かもしれません。

投資教材なら、売っているのは手法だけではありません。無駄なエントリーを減らし、自分の判断に軸を持つことかもしれません。

こうやって「機能」から「意味」へ広げると、ブランドの見え方は変わります。

アシックスは、単なる機能の良いシューズではなく、心と体のパフォーマンスを支えるブランドとして復活しました。

あなたの商品も同じです。

何を提供しているかだけではなく、それによってお客さんの生活や仕事にどんな変化が起きるのか。商品、発信、接客、導線のすべてで、その意味を一貫して伝えられるか。

そこまで設計できた時、商品はただの機能ではなく、選ばれるブランドに近づきます。

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この記事を書いた人

   

セールスコピーライター てらじまたくろう

高額でも御社の商品を買いたい人を特定し、集め、高値で販売し、売上に貢献するセールスコピーライター。LP、ステップメール、セールスレター、説明会台本、AI集客動画まで、売れる導線を一気通貫で設計。このブログでは、実際に売れた商品や広告を題材に、「なぜ売れたのか?」をマーケティング視点で解説しています。

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