景気が悪くなると、「もう売れないかもしれない」と不安になります。お客さんの財布のひもが固くなる。広告への反応が落ちる。問い合わせが減る。今まで普通に売れていた商品でも、急に動きが鈍くなることがあります。
そんな時、多くの人は「安くしないと売れない」と考えます。
でも、本当に景気が悪い時は、すべての商品が売れなくなるのでしょうか。
実は、そうとは限りません。景気が悪い時ほど売れる商品があります。不況になるほど反応が上がるメッセージがあります。お客さんが不安になった時に、むしろ「今すぐ必要だ」と見られるサービスもあります。
この視点を教えてくれるのが、ダン・ケネディです。ダン・ケネディは、マグネティック・マーケティングの創始者として知られる、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの世界的な権威です。著書は37冊あり、複数の起業、買収、売却の実績を持ち、コンサルタント、セールスライター、講演家としても活動してきた人物です。
彼のレポートには、「私のビジネスは、景気が悪くなると売上が急上昇します」という強烈なテーマが出てきます。
普通に考えると、不況は売上にとってマイナスです。しかし、ダン・ケネディはそこで終わりません。景気が悪い時に、どんな問題が強くなり、どんな商品が必要とされ、どんなマーケティングに変えるべきかを見ています。
ダン・ケネディは「不況でも売れるチャンス」を見ている
不況になると、多くの会社は動きを止めます。広告を減らす。新しい提案をやめる。顧客への連絡を減らす。イベントやキャンペーンを控える。
たしかに、守りに入りたくなる気持ちは分かります。
ただ、全員が止まる時に動く人は、逆に目立ちます。
ダン・ケネディのレポートでは、不況時に反応が上がった事例が紹介されています。たとえば、医師向けに「新規患者を逃さないように電話対応を変更せよ」というメッセージを届けたところ、以前は関心を示さなかった医師たちが熱心に聞くようになったという話です。
同じメッセージでも、時代や状況が変わると反応が変わります。
景気が良い時には「まあ、そのうち考えよう」と思われることでも、不況になると「今やらないとまずい」に変わるからです。
景気が悪い時ほど、問題は見えやすくなる
不況の時、お客さんは問題に敏感になります。
売上が落ちるかもしれない。無駄な支出を減らしたい。失敗したくない。今ある顧客を逃したくない。もっと効率よく集客したい。安定した収入源を作りたい。
こうした悩みが、普段よりも強くなります。
そこで必要になるのは、ただ商品を売ることではありません。
「今のあなたが抱えている問題はこれです」
「放置すると、こういう損が出ます」
「だから今、この対策が必要です」
このように、景気が悪い時の悩みに商品を接続することです。
この考え方は、以前書いたいつか必要な商品を今欲しい商品に変える方法にも通じます。商品は、ただ存在しているだけでは動きません。お客さんが「今の自分に必要だ」と感じた時に、初めて欲しくなります。
売れなくなる商品と売れやすくなる商品の違い
景気が悪い時に売れなくなる商品には、共通点があります。
それは「後回しにできる」と思われていることです。
いつかやればいい。余裕ができたら買えばいい。今すぐなくても困らない。別に今年じゃなくてもいい。
こう思われる商品は、不況時に弱くなります。
反対に、不況でも売れやすい商品は「今、放置すると困る」と思われています。
売上を守る。顧客を逃さない。コストを減らす。健康を守る。家族の不安を減らす。仕事の効率を上げる。今あるものを長く使う。
こうしたテーマに接続できる商品は、不況でも必要性が上がります。
後回しにされる商品と、今すぐ必要な商品の差
同じ商品でも、見せ方によって「後回しの商品」にも「今すぐ必要な商品」にもなります。
たとえば、コピーライティング講座を「文章がうまくなる講座」と見せると、余裕がある時に学ぶものに見えます。
しかし、「広告費を無駄にしないために、商品の価値を正しく伝える文章を作る講座」と見せれば、不況時の問題に近づきます。
整体も同じです。
「気持ちいい施術です」だけなら、支出削減の対象になるかもしれません。けれど、「慢性的な疲れで仕事の集中力が落ちている人が、毎日をラクに動ける体に整える」と伝えれば、必要性が変わります。
ファブリーズも、ただの消臭スプレーとして見せるだけなら弱かったはずです。けれど、生活の中にある「ニオイ問題」を言語化したことで、使う理由が生まれました。このように、お客さんが気づいていない問題を見えるようにする考え方は、ファブリーズの事例にも近いです。
不況時に反応が上がるコピーの共通点
不況時に強いコピーは、ただ元気づけるだけではありません。
「大丈夫です」
「今こそチャンスです」
「夢を叶えましょう」
こういう言葉も、場合によっては使えます。ただ、お客さんが本当に不安を抱えている時には、少し軽く見えることがあります。
必要なのは、不安を煽ることではありません。
お客さんが感じている問題を、はっきり言語化することです。
「新規客を逃していませんか?」
「広告費をかけても問い合わせにつながっていないなら、導線が切れているかもしれません」
「今いる顧客との関係を薄くすると、不況時に真っ先に切られる商品になります」
このように、相手が心の中で感じている不安に言葉を与えると、コピーは強くなります。
不安を煽るのではなく、問題を言語化する
不況時のコピーで気をつけたいのは、恐怖だけで売ろうとしないことです。
「今すぐやらないと終わります」
「買わないと損します」
「このままだと大変なことになります」
こうした言い方ばかりになると、読者は疲れます。
本当に強いコピーは、不安を煽る前に、相手の状況を理解します。
売上が落ちて不安ですよね。広告費を増やすのも怖いですよね。新規客ばかり追うのも限界がありますよね。だからこそ、今ある顧客リストや既存客との関係を見直しましょう。
こういう順番なら、押し売りではなく提案になります。
不況でも売れる商品は、お客さんの不安を利用する商品ではありません。お客さんが不安に感じている問題に、具体的な答えを出す商品です。
競合が止まる時こそ、動く人が選ばれる
景気が悪くなると、競合も不安になります。
広告を止める。キャンペーンを控える。新しい提案をやめる。顧客への接触を減らす。
ここに、チャンスがあります。
ダン・ケネディのレポートでは、高級レストランがバレンタインデーの予約で成功した話も出てきます。競合の多くが「どうせ無駄だ」と考えて特別メニューや宣伝をしなかった中で、動いた店が予約を埋めたという流れです。
これは、派手な裏技ではありません。
競合が止まっている時に、顧客データベースを使い、必要なタイミングで提案しただけです。
広告を止める人と、提案を強める人の差
不況時に全員が広告を減らすなら、広告を続ける人は目立ちます。
顧客への連絡を減らす会社が多いなら、丁寧に連絡する会社は記憶に残ります。
新しい提案をやめる競合が増えるなら、今の状況に合わせた提案をする人が選ばれやすくなります。
もちろん、無理に広告費を増やせという話ではありません。
大事なのは、止まらないことです。
メルマガを書く。既存客に連絡する。今の悩みに合わせた商品名に変える。LPの冒頭を不況時の悩みに合わせる。今のお客さんが不安に感じていることをSNSで言語化する。
小さくても、動き続けることが大切です。
V字回復の事例でいえば、ドミノ・ピザも、自分たちの弱点や顧客の不満から逃げずに向き合ったことで見せ方を変えました。景気が悪い時も同じで、売れない理由から逃げずに、今の顧客が抱える問題に合わせて商品や伝え方を変える必要があります。
不況でも売れる商品は、時代の悩みに合わせて変わる
不況時に売れる商品は、最初から特別な商品とは限りません。
同じ商品でも、時代に合わせて売り方を変えることで、不況時に必要とされることがあります。
レポートでは、家で食事をする人が増えるなら、レストランはテイクアウトできる調理済みメニューを増やせるといった話も出てきます。リフォーム業者や家具販売業者なら、お得なパッケージを作ったり、今の市場に合わせた商品を作ったりできるとされています。
要するに、景気が悪いから何もできないのではありません。
お客さんの行動が変わったなら、商品や見せ方も変えればいいのです。
商品を変えずに、意味を変えることもできる
大きく商品を作り直さなくても、見せ方を変えるだけで反応が変わることがあります。
高額商品なら、「贅沢品」ではなく「将来の損失を防ぐ投資」と見せる。
講座なら、「学び」ではなく「今ある商品の売上を守るためのスキル」と見せる。
コンサルなら、「相談」ではなく「不況時に迷わないための判断基準を作る時間」と見せる。
同じ商品でも、意味が変わると買う理由が変わります。
11万円ウイスキーの事例でも、高いお酒をただ高級品として見せるのではなく、限定性やストーリーによって「高くても欲しい」と思える理由が作られていました。不況時の商品も同じで、価格や機能だけではなく、今その商品を選ぶ意味を伝えることが大切です。
あなたのビジネスにどう応用するか?
まず、自分の商品が「不況時にどんな問題に答えられるか」を考えてみてください。
景気が悪い時、お客さんは何に不安を感じるでしょうか。売上でしょうか。集客でしょうか。健康でしょうか。家計でしょうか。時間でしょうか。人間関係でしょうか。
その不安に、自分の商品はどう役立てるでしょうか。
不況時の悩みに商品を接続する
最初にやるべきことは、商品の説明を書き換えることです。
「何を売っているか」だけではなく、「今の時代に、なぜ必要なのか」を書きます。
たとえば、コピーライティング講座なら、「文章を学ぶ講座」ではなく、「広告費や発信のムダを減らし、商品の価値を正しく伝えるための講座」と言えます。
整体なら、「体を整える施術」ではなく、「疲れや不調で仕事や家事のパフォーマンスを落とさないためのメンテナンス」と伝えられます。
Web制作なら、「ホームページを作るサービス」ではなく、「紹介やSNSだけに頼らず、検索された時に信頼される入口を作るサービス」と見せられます。
同じ商品でも、不況時の悩みに接続すると必要性が変わります。
今すぐ必要な理由を作る
次に考えたいのは、「今やる理由」です。
不況でも売れる商品は、後回しにされにくい商品です。
そのためには、放置すると何が起きるのかを具体的に見せる必要があります。
今の顧客に連絡しないと、忘れられる。LPの導線を直さないと、広告費が無駄になる。商品名や見せ方を変えないと、価格だけで比較される。既存客に次の商品を提案しないと、新規集客ばかりに頼ることになる。
こうした「今やらない損失」が見えると、商品は後回しにされにくくなります。
不況でも売れる商品は、特別な魔法の商品ではありません。
お客さんが今まさに困っている問題に答えている商品です。
景気が悪いから売れないのではなく、景気が悪い時の悩みに商品がつながっていないから売れない場合があります。
だからこそ、問い直すべきなのは「どうすれば安くできるか」だけではありません。
今のお客さんは何に困っているのか。自分の商品は、その問題にどう役立てるのか。どんな言葉に変えれば、「今必要だ」と伝わるのか。
ここを見直すことで、不況はただ耐えるものではなく、商品価値を見直すきっかけになります。
ダン・ケネディが教えてくれるのは、不況を言い訳にすることではありません。
景気が悪い時ほど、問題は表面化します。
そして、問題が表面化する時ほど、それに答える商品は必要とされます。
不況でも売れる商品とは、派手な商品ではありません。
今困っている人に、「それ、まさに必要だった」と思われる商品です。


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