ニトリは、どうやって「小売は大変そう」という思い込みを就活生の憧れに変えたのか?

ニトリ 採用マーケティングとして小売は大変そうという思い込みを就活生の憧れに変える体験設計 マーケティング事例
選ばれる会社は、仕事内容だけでなく、働いた後の未来を見せています

人を採用したいのに、なかなか応募が集まらない。求人を出しても反応が薄い。条件を載せても、会社の魅力が伝わっている気がしない。そんな悩みを持つ会社は多いはずです。

特に、業界そのものにマイナスイメージがある場合は、さらに難しくなります。

「大変そう」
「給料が低そう」
「休みが少なそう」
「将来が見えにくそう」

こう思われてしまうと、どれだけ会社の中身が良くても、そもそも選択肢に入れてもらえません。

でも、そこで終わらなかった会社があります。

それがニトリです。

ニトリは、家具・インテリア業界の大手企業です。「お、ねだん以上。」というキャッチコピーでも知られています。ただ、日本の小売業には、「給料が低い」「労働環境が厳しい」といったネガティブな印象を持たれやすい面があります。

それにもかかわらず、元記事ではニトリについて、就活生人気ランキングで1位を獲得し、学生の3.5人に1人が応募していると紹介されています。今回のテーマは、なぜニトリが選ばれたのかではありません。

どうやって、選ばれる見せ方を作ったのか。

ここをマーケティング視点で見ていきます。

採用は、会社説明ではなく価値の伝え方で決まる

採用というと、多くの会社は会社説明をしようとします。

事業内容。仕事内容。待遇。福利厚生。勤務地。研修制度。もちろん、これらは大切です。

ただ、それだけでは人の心は動きにくいです。

なぜなら、応募者が本当に知りたいのは「その会社が何をしているか」だけではないからです。

自分はここで成長できるのか。自分の価値観に合っているのか。将来どんな働き方ができるのか。どんな人と働くのか。入社後にどんな自分になれるのか。

学生が見ているのは、会社情報ではなく、自分の未来です。

仕事内容より、働いた後の自分を見せる

ニトリの採用が面白いのは、インターンシップを単なる会社説明や採用前の選考にしていないところです。

元記事では、ニトリのインターンシップが、学生を評価・選別する場ではなく、学生自身が自分の将来を考えるための場として設計されていると紹介されています。

これが強いです。

会社が一方的に「うちは良い会社です」と説明するのではなく、学生に「自分は何に価値を感じるのか」「将来どうありたいのか」を考えさせる。

すると、会社説明ではなく、自己理解の体験になります。

人は、自分のことを深く考えさせてくれた相手に好感を持ちます。これは採用だけではなく、商品販売でも同じです。

ニトリは「小売は大変そう」という先入観をそのままにしなかった

小売業は、どうしても現場の大変さをイメージされやすい業界です。

立ち仕事が多そう。忙しそう。給与が高くなさそう。土日も働くことが多そう。こうした先入観があると、学生は最初から距離を置いてしまいます。

ここで普通の会社なら、待遇や制度を説明して不安を消そうとします。

もちろん、それも必要です。

ただ、ニトリはそれだけではありません。

学生に「小売で働くとは何か」を考え直させる場を作っています。

業界イメージを変えるには、体験が必要になる

先入観は、説明だけではなかなか変わりません。

「小売は大変ではありません」
「うちは働きやすいです」
「成長できる環境です」

こう言われても、学生の中にあるイメージはすぐには変わりません。

だからこそ、体験が必要になります。

実際に企業の考え方に触れる。働く人と話す。自分の将来を考える。仕事の意味を別の角度から知る。

こうした体験を通じて、はじめて「思っていた小売と違うかもしれない」と感じてもらえます。

これは商品販売でも同じです。

「うちの商品は良いです」と説明するだけでは弱い。使う場面を見せる。体験してもらう。自分ごととして考えてもらう。そうして初めて、相手の先入観は変わります。

以前書いた無印良品の事例でも、安さや派手さではなく、生活に合う価値観そのものが選ばれる理由になっていました。ニトリの採用も同じように、「小売」という機能的な説明ではなく、働く価値観や未来の見せ方が重要になっています。

インターンシップで、学生に自分の未来を考えさせた

ニトリのインターンシップで注目すべきなのは、学生の過去を振り返らせる点です。

元記事では、参加者に対して「何に頑張れたのか」「なぜ頑張れたのか」「何に心が動いたのか」といった問いが投げかけられると紹介されています。

これは、普通の会社説明とはまったく違います。

会社の魅力を押しつけるのではなく、学生自身の価値観を掘り起こしているからです。

自分を理解させてくれる会社は、記憶に残る

学生にとって就職活動は、不安の多い時期です。

どの会社がいいのか。自分に何が向いているのか。何を基準に選べばいいのか。周りが内定を取り始めると、さらに焦りも出ます。

そんな時に、自分の価値観を整理する時間をくれる会社があったらどうでしょうか。

「この会社は、ただ採用したいだけではなく、自分の将来を一緒に考えてくれている」

そう感じる可能性があります。

ここに、ニトリの採用マーケティングの強さがあります。

採用活動なのに、売り込みだけで終わっていない。学生自身の課題に寄り添っている。

これは、あなたのビジネスでも使える考え方です。

お客さんに商品を売る前に、まず相手の悩みや価値観を整理してあげる。すると、商品説明を聞く前から「この人は分かってくれている」と感じてもらいやすくなります。

短期的な採用ではなく、長期的な関係づくりをしている

採用でよくあるのは、短期決戦です。

説明会に来てもらう。エントリーしてもらう。面接に進んでもらう。内定を出す。早く承諾してもらう。

もちろん、採用活動には期限があります。

ただ、応募者との関係づくりを短期的な選考だけで考えると、どうしても会社都合が前に出ます。

ニトリのインターンシップは、学生の自己理解や将来設計に踏み込むことで、採用活動を長期的な関係づくりに変えています。

信頼は、相手の未来を一緒に考えることで生まれる

人は、自分をただ選別しようとする相手には身構えます。

一方で、自分の未来を一緒に考えてくれる相手には心を開きやすいです。

これは採用だけでなく、営業やマーケティングでも同じです。

「買ってください」と言う人より、「あなたの場合は、まずここを整理した方がいいです」と言う人の方が信頼されます。

「うちの商品はすごいです」と言う人より、「あなたが今迷っている理由はここかもしれません」と言う人の方が、話を聞いてもらいやすくなります。

たとえば、BtoBの集客でも、最初から商品を売り込むより、相手が検索した時に必要な情報へたどり着ける導線を作ることが大切です。シマテックの事例も、見込み客が必要とする情報をきちんと用意し、選ばれる理由を作った点で参考になります。

商品も会社も、「選ばれる理由」を作る必要がある

ニトリの採用事例は、採用担当者だけの話ではありません。

商品販売にも、そのまま応用できます。

売れない商品や選ばれない会社は、価値がないわけではありません。価値の見せ方が弱いだけの場合があります。

お客さんや応募者が持っている先入観を放置していないか。相手が自分ごととして考えられる体験を作っているか。商品や会社の説明だけで終わっていないか。選んだ後の未来を見せられているか。

ここを見直すだけで、伝わり方は変わります。

「何をしているか」だけでは選ばれない

商品や会社を説明する時、多くの人は「何をしているか」を語ります。

家具を売っています。Web制作をしています。講座をしています。コンサルをしています。採用しています。

もちろん、それは必要です。

でも、それだけでは選ばれにくいです。

相手が知りたいのは、「それが自分にどう関係あるのか」です。

ここが伝わらないと、どれだけ良い商品でも候補に入りません。

[何を売っている会社か分からない]という問題も、まさにここにあります。会社側は説明しているつもりでも、相手から見ると「自分にどう役立つのか」が見えない。そうなると、選ばれる前に離脱されてしまいます。

あなたのビジネスにどう応用するか?

ニトリの事例から学べるのは、採用も販売も「相手の未来を見せること」が大切だということです。

会社説明や商品説明だけでは、人は動きません。

相手が自分の悩みや価値観に気づき、「この会社なら」「この商品なら」と未来を想像できた時に、選ばれる理由が生まれます。

先入観をそのままにしない

まず、自分の商品や業界に対して、お客さんがどんな先入観を持っているかを書き出してみてください。

高そう。難しそう。面倒そう。自分には関係なさそう。効果が分かりにくそう。怪しそう。続かなさそう。

こうした先入観を放置したまま商品説明をしても、なかなか伝わりません。

先にその不安を言語化し、見方を変える必要があります。

たとえば、コンサルなら「ただアドバイスを受ける場」ではなく、「自分の課題を整理し、次にやることを明確にする時間」と見せることができます。

講座なら「知識を学ぶ場」ではなく、「自分の商品や発信に使える形まで落とし込む場」と伝えられます。

採用なら「仕事内容を説明する場」ではなく、「自分がどんな未来を作りたいのかを考える場」にできます。

相手に自分の未来を想像させる

次に、選んだ後の未来を見せることです。

商品を買った後、何が変わるのか。サービスを受けた後、どんな迷いが減るのか。会社に入った後、どんな自分になれるのか。

ここが見えると、相手は自分ごととして考えやすくなります。

コストコの年会費のように、最初に年会費というハードルがあっても、その先に得られる体験や価値が見えていれば、人は納得して行動します。採用でも商品販売でも、ハードルそのものより、その先にある未来をどう見せるかが大事です。

説明ではなく、体験を設計する

最後に、説明だけで終わらせないことです。

無料相談、体験会、インターンシップ、セミナー、ワーク、診断、チェックリスト。こうしたものは、ただの入口ではありません。

相手が自分のことを考えるための体験です。

ニトリのインターンシップが学生に自分の未来を考えさせたように、あなたの商品やサービスも、お客さんに自分の課題や理想を考えさせる場を作れます。

売れる会社、選ばれる商品、応募される採用には共通点があります。

相手に「自分の未来」を見せていることです。

ニトリが「小売は大変そう」という思い込みを就活生の憧れに変えたのは、ただ条件を説明したからではありません。

学生自身が、自分の価値観や未来を考えられる体験を作ったからです。

採用も、商品販売も、結局は同じです。

相手が「ここに自分の未来がある」と思えた時、人は選びたくなります。

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この記事を書いた人

   

セールスコピーライター てらじまたくろう

高額でも御社の商品を買いたい人を特定し、集め、高値で販売し、売上に貢献するセールスコピーライター。LP、ステップメール、セールスレター、説明会台本、AI集客動画まで、売れる導線を一気通貫で設計。このブログでは、実際に売れた商品や広告を題材に、「なぜ売れたのか?」をマーケティング視点で解説しています。

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