なぜ、女性のワキ毛は「剃るもの」になったのか?

ゴディバの義理チョコをやめよう広告が共感を生んだ理由を表すアイキャッチ画像 マーケティング事例

女性のワキ毛を剃る理由は、昔から当たり前にあったわけではありません。今では、ノースリーブを着る時や夏のファッションでは「ワキ毛は処理するもの」と考える人も多いですが、その感覚は自然に生まれたものではなく、ファッションの変化と広告によって広がっていったものです。

もちろん、今は剃るか剃らないかは個人の自由です。この記事は「女性は剃るべき」という話ではありません。マーケティングの視点で見ると、もともと大きな問題ではなかったものが、広告によって「見えるムダ毛」という新しい問題として定義され、商品が売れる理由になったという話です。

もともとワキ毛は「見えないもの」だった

昔の女性ファッションでは、ワキが人前に出る機会は今ほど多くありませんでした。袖のある服が一般的であれば、ワキ毛はそもそも見えません。見えないものは、他人から評価されにくい。つまり、処理しなければならない「問題」として意識されにくかったわけです。

ところが、ファッションが変わると状況も変わります。

ノースリーブや袖のないドレスが広がり、ワキが人目に触れるようになる。すると、今まで見えなかったものが見えるようになります。ここで広告会社やメーカーにとって、新しい市場が生まれました。

「見えるなら、整えるべきではないか」

この空気を作ることで、女性向けカミソリや脱毛商品の需要が生まれていったのです。

ファッションが変わると、新しい悩みが生まれる

マーケティングで面白いのは、商品が先にあるだけでは売れないことです。

商品を使う理由が必要です。

女性向けカミソリの場合、その理由を作った大きなきっかけがファッションの変化でした。

スミソニアンの解説では、ジレットは1915年に女性向けカミソリ「Milady Decollette」を発売し、1920年代にはノースリーブや短いドレスの流行によって、女性の脚やワキが社交の場で見えるようになったと説明されています。そして広告主たちは、その機会を利用して女性に脚やワキの毛を剃るよう促していきました。

つまり、ワキ毛処理の習慣は、単に「カミソリが便利だったから」広がったわけではありません。

ワキが見えるファッションが出てきた。

その見える部分を「整えるべき場所」として広告が伝えた。

その結果、女性向けカミソリを使う理由が生まれた。

この順番です。

ジレットは「見えるムダ毛」を問題にした

ジレットがすごいのは、カミソリを売ったことだけではありません。

「女性にもカミソリが必要だ」と思わせる理由を作ったことです。

男性向けカミソリなら、ヒゲを剃るという明確な用途があります。男性のヒゲは目立ちますし、社会的にも身だしなみとして分かりやすい。

でも女性向けカミソリの場合、最初から明確な習慣があったわけではありません。

そこで広告は、ワキ毛をただの体毛ではなく、「見えると美しくないもの」「処理すべきもの」として扱い始めました。

ここで重要なのは、商品そのものではなく、商品を使うべき理由を作ったことです。

ワキ毛が見える。

それは恥ずかしい。

美しく見せるには処理したほうがいい。

そのためにカミソリが必要。

この流れができると、カミソリはただの道具ではなく、「美しさ」や「清潔感」を守る商品になります。

問題を作ると、商品は必要になる

売れる商品には、必ず「使う理由」があります。

リステリンは、口臭を「放置すると人間関係に影響する問題」として広げました。ファブリーズは、ニオイを消すだけでなく「掃除の最後に使う商品」として生活の中に入りました。

女性向けカミソリも同じです。

それまでは気にされにくかったワキ毛を、ファッションの変化に合わせて「見えるムダ毛」として定義した。すると、カミソリを使う理由が生まれます。

これは強力なマーケティングです。

商品を売る前に、まず問題を作る。

問題が生まれると、人は解決策を探す。

そこで商品が必要になる。

この順番ができると、ただの道具だったカミソリが、身だしなみや美意識の一部として売れるようになります。

リステリンが口臭問題を広めた広告事例

ファブリーズが使うタイミングを変えただけで売れた理由

今は「剃るべき」ではなく「選べる時代」

ここは大事です。

この事例から学ぶべきなのは、「女性はワキ毛を剃るべき」ということではありません。

むしろ、現代では剃るか剃らないかは個人の選択です。ファッションや価値観も多様になり、体毛に対する考え方も変わっています。

ただ、マーケティングの歴史として見ると、女性のワキ毛処理が広がった背景には、広告によって作られた美意識があります。

何が美しいとされるのか。

何が恥ずかしいとされるのか。

何を処理すべきだと感じるのか。

これらは、時代や広告によって変わります。

つまり、私たちが「当たり前」と思っていることの中には、企業の広告や市場づくりによって作られたものがあるということです。

この事例から分かること

女性のワキ毛が「剃るもの」になった理由から分かるのは、商品は問題があるから売れるだけではないということです。

時には、広告が新しい問題を作ります。

それまで見えなかったものを見えるようにする。

気にしていなかったことを気にさせる。

ただの習慣ではなかったものを、身だしなみや美しさの条件に変える。

すると、その問題を解決する商品が必要になります。

ジレットの女性向けカミソリは、まさにその流れの中で広がりました。ファッションが変わり、ワキが見えるようになり、広告が「見えるムダ毛」という問題を作り、カミソリが解決策になったのです。

売れる商品には、必ず理由があります。

そしてその理由は、商品の中身だけでなく、「どんな問題として世の中に認識されたか」にも隠されています。

女性のワキ毛処理は、単なる美容習慣ではありません。

マーケティングが「新しい当たり前」を作った、かなり分かりやすい事例なのです。

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この記事を書いた人

   

セールスコピーライター てらじまたくろう

高額でも御社の商品を買いたい人を特定し、集め、高値で販売し、売上に貢献するセールスコピーライター。LP、ステップメール、セールスレター、説明会台本、AI集客動画まで、売れる導線を一気通貫で設計。このブログでは、実際に売れた商品や広告を題材に、「なぜ売れたのか?」をマーケティング視点で解説しています。

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