フケ 対策すべき悩みというテーマは、マーケティングを考えるうえでかなり面白い事例です。なぜなら、フケそのものは昔からあったのに、広告によって「放置してはいけない問題」として見られるようになったからです。
フケは、急に世の中に現れたものではありません。頭皮の状態や乾燥、体質などによって、昔から多くの人に起きていた自然な現象です。ただ、それが単なる体質の話で終わるのか、それとも「清潔感を失う悩み」として受け止められるのかで、商品の必要性は大きく変わります。
フケ対策シャンプーが広がった背景には、この「見せ方の変化」があります。ただ頭を洗うための商品ではなく、人前で恥をかかないための商品。清潔感を守る商品。近くにいる人から嫌がられないための商品。そう見せられたことで、フケは対策すべき悩みになっていきました。
ここに、売れるマーケティングの大事なヒントがあります。商品を売る前に、まず「何を問題として見せるか」を決める必要があるのです。
フケは昔からあった。でも「買う理由」にはなっていなかった
フケは昔からありました。だからといって、最初から多くの人が専用シャンプーを必要としていたわけではありません。
人は、自分が強く困っていないことにはお金を使いにくいです。少し気になる程度なら、「まあ大丈夫」「そのうち何とかしよう」と後回しにします。フケも同じで、本人がそこまで深刻に感じていなければ、わざわざ専用商品を買う理由にはなりにくいのです。
問題にならない限り、商品は必要にならない
ここで大事なのは、商品が存在するだけでは売れないということです。
フケ対策シャンプーがあっても、お客さんが「自分には必要だ」と感じなければ買われません。つまり、商品を売るには、先に問題を認識してもらう必要があります。
たとえば、「頭皮をケアできます」と言われても、まだ弱いです。でも、「黒い服の肩に白いフケが落ちていたら、清潔感まで疑われるかもしれません」と言われると、急に気になります。
この違いは大きいです。前者は商品の説明ですが、後者は放置した時の損を見せています。
マーケティングでは、この「損が見えるかどうか」がかなり重要です。損が見えないと、人は動きません。反対に、今まで気にしていなかったことでも、損が見えると一気に自分事になります。
理由1 フケを「頭皮の問題」ではなく「清潔感の問題」に変えた
フケ対策シャンプーのマーケティングで強いのは、フケを単なる頭皮の問題として見せなかったことです。
もちろん、実際には頭皮や髪のケアに関わる話です。ただ、それだけで売ろうとすると、どうしても商品説明になってしまいます。「頭皮を清潔にします」「フケを抑えます」「髪を洗います」という話だけでは、今すぐ欲しい理由が弱いのです。
そこで、広告はフケを「人からどう見られるか」の問題に変えました。
人から見える悩みは強い
肩に落ちたフケは、自分だけの問題ではありません。人に見られる可能性があります。近くで話す相手に気づかれるかもしれません。黒い服を着た時に、白い粉のように目立つこともあります。
そうなると、フケは単なる体質ではなくなります。
清潔感がないと思われるかもしれない。身だしなみに気を使っていない人だと見られるかもしれない。仕事やデート、面接などの場面で印象を下げるかもしれない。
このように見せることで、フケ対策シャンプーは「頭を洗う商品」から「印象を守る商品」になります。
この構造は、女性のワキ毛とジレットのマーケティングにも近いです。ワキ毛も体の自然な現象ですが、広告によって「見えると恥ずかしい」「処理するのが身だしなみ」という意味が強まりました。自然な現象でも、人からどう見られるかと結びつくと、対策する理由が生まれるのです。
理由2 「自分では気づきにくい不安」を刺激した
フケのやっかいなところは、自分では気づきにくいことです。鏡を見なければ分かりませんし、服の肩に落ちていても、本人より周りの人のほうが先に気づくことがあります。
この「自分では気づきにくい」という要素は、マーケティングでは強いです。
なぜなら、人は確認できないものほど不安になるからです。
周りは気づいているかもしれない
口臭、体臭、部屋のニオイも同じです。本人は慣れてしまっていても、周りの人は気づいているかもしれません。直接言われないからこそ、余計に不安になります。
フケもこれに近い悩みです。誰かに「フケついてるよ」と言われるのは恥ずかしい。けれど、言われないまま不潔だと思われるのも怖い。だからこそ、事前に対策したくなります。
この考え方は、ファブリーズのマーケティングにも通じます。ファブリーズは、単に「消臭できます」と言っただけではありません。自分では気づきにくい生活臭を問題として見せました。その結果、消臭スプレーは「あると便利」ではなく、「使っておきたい商品」に変わったのです。
フケ対策シャンプーも同じです。本人が軽く見ている悩みでも、「周りは気づいているかもしれない」と見せることで、対策する理由が強くなります。
理由3 フケ対策シャンプーを「身だしなみの正解」にした
フケが清潔感の問題として認識されると、次に必要になるのは解決策です。ここで専用シャンプーの出番になります。
ただし、単に「フケを抑えます」と言うだけでは少し弱いです。強いマーケティングは、商品をただの選択肢ではなく「これを使えばいい」という正解のように見せます。
悩みが明確になると、解決策も欲しくなる
人は、問題がはっきりすると解決策を探します。
肩のフケが目立つ。清潔感がないと思われるかもしれない。仕事や人間関係で損をするかもしれない。こうした不安が生まれると、「では、どうすればいいのか?」という気持ちになります。
そこでフケ対策シャンプーが、「普段のシャンプーではなく、専用の対策をしましょう」と登場するわけです。
ここで重要なのは、悩みと商品が一直線につながっていることです。フケが問題。だからフケ対策シャンプー。この流れが分かりやすいほど、商品は選ばれやすくなります。
これは鼻セレブのネーミングマーケティングにも少し似ています。鼻セレブは、ただのティッシュではなく、鼻をいたわる高級ティッシュとして見せました。悩みや使用場面がはっきりすると、普通の商品ではなく専用商品を選ぶ理由が生まれます。
商品を売る前に、問題の見せ方を変える
フケ対策シャンプーの事例で学べるのは、商品を売る前に問題の見せ方を変えることの大切さです。
多くの人は、商品が売れない時に機能を足そうとします。成分を増やす。実績を並べる。価格を下げる。もちろん、それが必要な場合もあります。
でも、そもそもお客さんが問題を感じていなければ、どれだけ機能を説明しても刺さりません。
「何が困るのか」を先に見せる
フケ対策シャンプーが売れるには、先に「フケを放置すると何が困るのか」が伝わる必要があります。清潔感を失う。人に見られる。印象が下がる。大事な場面で損をする。
ここまで見えた時、シャンプーの成分や効果に興味が向きます。
つまり順番が大事です。
商品説明が先ではありません。問題の見せ方が先です。
この発想は、ゴディバ義理チョコのマーケティングにも通じます。ゴディバはチョコの味を説明する前に、「義理チョコをやめよう」という問題提起をしました。問題の見せ方が変わると、ブランドや商品の意味も変わります。
あなたのビジネスにどう応用するか?
フケ 対策すべき悩みの事例から学べるのは、お客さんがまだ軽く見ていることを、どうやって「今すぐ考えるべき問題」に変えるかです。
あなたの商品も、いきなり説明しても売れにくいかもしれません。特に、講座、コンサル、整体、健康商品、保険、終活、セキュリティ、集客改善のような商品は、必要性があっても後回しにされやすいです。
放置した時の損を具体的にする
まず考えるべきなのは、「それを放置すると何が困るのか」です。
コピーライティング講座なら、「文章を学びましょう」では弱いです。でも、「売れない言葉のまま広告を出すと、商品ではなく広告費が先に消えていきます」と言えば、放置できない問題になります。
整体なら、「体を整えましょう」より、「痛みが出てから通うと、時間もお金も余計にかかるかもしれません」のほうが必要性が伝わります。
集客改善なら、「売上を伸ばしましょう」より、「問い合わせが来ているのに成約しないなら、集客ではなく伝え方で損をしているかもしれません」のほうが自分事になります。
大事なのは、商品を売る前に「お客さんが何を軽く見ているのか」を見つけることです。本人がまだ大きな問題だと思っていないこと。後回しにしていること。なんとなく大丈夫だと思っていること。そこに、コピーの入口があります。
フケは昔からありました。でも、清潔感や印象の問題として見せられたことで、今すぐ対策すべき悩みに変わりました。
商品は、説明するだけでは弱いことがあります。先に問題の見せ方を変える。お客さんが「これは放置できない」と感じた時、その商品はただの選択肢ではなく、必要な解決策として見られるようになるのです。


コメント