誰もが知る作業着専門店のワークマン。少し前まで、ここは完全に「現場の職人さんが行くお店」でした。つまり、油汚れにまみれて働くプロのための場所です。一般の人がフラッと立ち寄る雰囲気ではありませんでした。
しかし現在、店舗の様子は激変しています。休日の店内には、若い女性や家族連れが殺到しているのです。アパレル不況と言われる厳しい時代ですよね。それなのになぜ、これほどの大躍進を遂げたのでしょうか。この劇的な変化は、ワークマンの巧みなマーケティング戦略によるものです。
倒産寸前からの復活劇だと思うかもしれません。しかし実は、当時のワークマンは赤字ではありませんでした。それどころか、職人向け市場で増収を続ける超優良企業だったのです。ではなぜ、絶好調の企業がターゲットを変えたのでしょうか。
それは、職人の高齢化による市場の縮小を見据えていたからです。そこで彼らは、体力があるうちに新しい市場を開拓しました。驚くことに、ゼロから新しい商品を作ったわけではありません。変えたのは「見せ方」と「ターゲット」だけです。
今回は、作業着のワークマンが大成功を果たした理由を解説します。彼らの視点を紐解いていきましょう。
ワークマンのマーケティングが大成功した3つの理由
ワークマンの成功は、ビジネスの大きなヒントになります。なぜなら、彼らは「職人向け」という固定概念を捨てたからです。そして、まったく新しい市場の悩みを見つけ出しました。
1. ターゲットを変えて「新しい使い方」を提案した
ワークマンの凄さは、商品の見せ方を少しだけズラした点です。たとえば、油で滑りやすい厨房用の靴がありました。本来は、飲食店の料理人に向けて売られていたものです。当然、デザインもシンプルで飾り気はありません。
そこで彼らは、この靴の機能に再注目しました。そして「妊婦さんが雨の日でも滑らず安心な靴」としてアピールしたのです。その結果、マタニティ層の女性たちの間で爆発的に売れました。
商品は全く同じです。しかし、顧客が抱える別の痛みにフォーカスしました。中身を変えずに言葉だけで価値を生む手法は非常に強力です。これは、呼び方を変えて価値を高めたなぜ、ファッション業界は「ジーパン」を「デニム」と言い換えるのか?の事例にも通じます。
2. 既存の強みを「別の市場の悩み」に当てはめた
職人の世界では、過酷な環境に耐える服が求められます。完全防水であったり、火の粉に強かったりする機能は必須です。しかも、毎日着替えるために価格も安くなければなりません。これがプロの常識です。
では、この「高機能で安い」という基準をアウトドア市場に持ち込むとどうなるでしょうか。当時のキャンパーたちは、数万円もするアウトドアウェアの価格に悩んでいました。
つまり、キャンパーにとってワークマンは「奇跡の商品」だったのです。他社なら1万円するジャケットが、2,900円で買えてしまいます。自分の強みを別の市場に持ち込む戦略は見事です。これは、子供から大人へターゲットをずらしたなぜ、倒産寸前だったレゴは「大人の高単価コレクション」としてV字回復できたのか?の事例にも共通します。ぜひ併せて読んでみてください。
3. 「プロ仕様」というブレない軸で信頼感を生んだ
ただ安いだけなら、他のファストファッションでも同じです。しかし、ワークマンには強力な武器がありました。それは「過酷な現場のプロが認めた品質」という絶対的な信頼感です。ここは決して揺るぎません。
安くておしゃれな服は世の中に溢れています。しかし、「安くておしゃれで、プロ仕様の耐久性がある服」は他にはありません。だからこそ、目の肥えた消費者は喜んで選んだのです。
安っぽさを感じさせないのは、品質というブレない軸があるからです。トレンドに流されず、自分たちの強みを理解しています。このように、商品のコンセプトを研ぎ澄ませる重要性は、なぜ、無印良品は「安売り」しなくても選ばれるのか?の事例にも通じる部分があります。
あなたのビジネスにどう応用するか?
ワークマンのマーケティングから私たちが学べることは非常にシンプルです。それは「新しい商品をゼロから作る必要はない」ということです。強みがあるうちに新しい市場を探す視点が重要になります。
もしあなたが、自分のコンテンツが売れずに悩んでいるとします。そのとき、すぐに中身を作り直すのは危険です。あるいは、新しい資格を取るのも一旦ストップしてください。まずは一度、このように自分へ問いかけてみましょう。
「私がすでに持っている商品を、違う見せ方で欲しがる人はいないか?」
たとえば、プログラマー向けの「効率的なタイピング講座」があったとします。これを「手が疲れない、Webライターのための疲労回復タイピング」と見せ方を変えてみます。これだけで、全く新しい層に売れるようになります。
あなたが当たり前だと思っているスキルや機能。それは、別の誰かにとってはお金を払ってでも解決したい悩みかもしれません。商品はそのままでも、切り口次第で売上は作れます。ぜひ、あなたのビジネスでも「見せ方とターゲットのズレ」を探してみてください。


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